最終日の様子

2011年9月25日 10:00-13:15 会場:じょうはな座

「日本海学と森里海連環学の連携シンポジウム」の後、「各分科会のまとめ」を共有した上で、それらを踏まえ、東日本大震災からの復興が目指すべき姿や、地域の自立と連携、その時必要になる首長のリーダーシップ、首長と志民の連携、基礎自治体と県、国等との行政の新たな関係づくり等を、志ある地域のリーダー5名の方々との「首長サミット」で語り合いました。そして、3日間の総括を踏まえ、最後に「ローカルサミット南砺宣言」を発表し、日本再生のあるべき姿を全国、アジアに発信しました。そして、実行委員長から、来年の開催地の発表を行い、締めくくられました。

  • 1)日本海学シンポジウム
  • 2)首長サミット
  • 3)総括とローカルサミット宣言
  • 4)最終挨拶

1. 日本海学シンポジウム

テーマ:逆さ地図から見えてくるもの!~森里海連環、アジア連携の意義~
司会:丹保 裕氏
パネリスト:中井徳太郎氏(環境省)、北野孝一氏(富山国際大)、王 禹浪氏(中国・大連大学)

各パネリストの発言要旨は次のとおりです。

<中井氏>

・富山に赴任し、日本海が大きな湖であり日本と大陸がつながっているように見える「逆さ地図」との出会いから、生命の源である海とのかかわりを軸として、新たな文明を模索する日本海学を提唱することとなった。
・環日本海地域は日本海の水の循環に支えられ、世界の中でも森に囲まれた場所が多く、人間も自然も、いろいろな役割を果たしながら共生している。
・リーマンショック以後、資本主義経済の根本的なあり方が問われているという認識が大事である。また西欧近代文明の大量生産・大量消費の経済や効率性至上主義といった人間中心の価値観から、全てのものに命が宿り、人間も自然の一部であるという先祖伝来的な価値観に立ち戻る必要がある。
・森里海の連環や循環、共生といった日本海学的な考え方を、アジアの人々と一緒に問題解決に取り組むなかで、広げていく必要がある。

<北野氏>

・富山国際大学は「共存・共生の精神」をベースに、国際社会・地域社会の発展を担う人材育成に努めてきた。また、キャンバス内での学生、NPO、企業が協働しての森林保全活動や海外森林ボランティアへの参加にも取り組んでいる
・富山国際大学と黒竜江省鶴崗師範高等専科学校と学術交流協定を締結することとなり、王教授を学術顧問とする代表団が来県し、ローカルサミットに参加いただいた。
・今回の教育及び学術協力により、中国東北地方の自然豊かな地域環境、調和のとれた地域づくりのため貢献できるものと大きな期待を抱いており、富山国際大学が目的とする「北東アジアの交流拠点」の重要な一角を担うことができると確信している。

<王氏>

・ローカルサミットに参加し、多くの方々の熱心な議論に感動している。
・日本海を取り巻く環日本海地域において、原発立地の現状を認識する必要がある。
・逆さ地図に見られるように私達は非常に近い関係にあり、皆様との友好を大切にして、市民レベルでの平和を築いていきたい。

2. 分科会まとめ

上9つの分科会のまとめを全体的にみると、いのち、目に見える関係、小さな循環、地域の自給・自立といった言葉が分科会横断的なキーワードとなりました。

3. 首長サミット

司会:吉澤事務総長
パネリスト:櫻井南相馬市長、加藤小田原市長、西平阿久根市長、夏野射水市長、田中南砺市長

各市長の発言要旨は次のとおりです。

<櫻井市長>

・原発問題で、市民一人一人の心がずたずたにされているのをどう結び合わせ、復興させていけるかが一番の課題。
・国は地域の志民をどのように扱おうとしているのか?小さないのちを大切に出来ない国政に対し、声を大にしてきちんと責任を取ってもらいたいと言いたい。
・除染も含めて復興に係り、震災バブル的動きが見え、お金の流れでも大きな力が働いているように感じられる。もっと国は大胆に自治体にお金を配分し、自治体が復興の主導を取れるようにしてもらいたい。

<加藤市長>

・昨年のローカルサミットを踏まえながら、いのちを柱に一期4年目に向かって動いている。
・その間、3.11が生じて、二宮尊徳の「荒地は荒地の力で」という言葉を肝に銘じつつ、地域の現場からの政策、実践の重要性と地域間のパートナーシップの大切さを痛感している。
・そして、具体的には、持続可能な市民自治を目指して、地域内での問題解決能力の引き上げを図る活動(無尽蔵PJ)と共に、3.11を踏まえて、早急に地域自給圏構想の確立を目指したいと考えている。

<西平市長>

・1月の市長選挙の後、破壊から創造へという言葉の下、対話を前面に市政運営に乗り出したところに、3.11が起き、その後地元で鳥インフルエンザの直接の被害も受け、被災地の長の責任の重さも痛感した。
・こうした未曾有の震災やお金が住民の心の絆を壊してきた原発のあり方が問われている等の大きな問題に直面する中、市民の心の溝をどう癒し、絆を作っていけるかに腐心してきた。
・その時、小さな循環をキーワードに、地域の自治体がつぶされず、しなやかな関係を形成していくことが重要であることを、このローカルサミットで深く学んだ。

<夏野市長>

・射水市は小さいエリアではあるが、文字通り海・里・森の連環の中で、市政を捉えることが出来るが、未だまだ市民の力が一つになりきれていない。
・3.11以降、人と人との関係の重要性を感じながら支援を続けてきているが、国、県との情報の非対称性やシステムの機能不全も感じてきている。
・やはり、地域で本当に必要なことを志民の協働で築いていくまちづくりに徹していくことが肝要であり、集落営農の歴史を踏まえ、海の恵みも生かしつつ、第一次産業のブランド化を図り、その重要性を強調していきたい。

<田中市長>

・住民自治に徹しながら、3.11以降は目見える関係性を構築しつつ復興支援に注力し、南相馬等との継続的支援を具体化してきている。
・南相馬への継続的支援のスクラムをこの首長サミットを起点に行いたい。A(阿久根)I(射水)O(小田原)N(南砺) M(南相馬)と呼ぼう!
・自分としては、小さな循環による地域自立の象徴として、2期目市政の軸に立野が原を中心としたエコビレッジの実現を掲げることにしたい。

<司会のまとめ>

・情報、お金、行政システムという大きな力に対し、今こそ、「荒地は荒地の力で」という報徳仕法の言葉通り、小さな循環による地域内での自立と地域間の連携というローカルの力を鍛えていくことが肝要であることが確認された。
・南相馬で復興の証として近い将来ローカルサミットが実現できればと念じつつ、志民・首長一揆ののろしを挙げた決起集会のようになったと感じている。

4. 総括とローカルサミット宣言

吉澤事務総長から3日間の総括を行ったうえで、吉澤と太田住職によるローカルサミット宣言IN南砺を朗読。

5.最終挨拶

川合実行委員長により、終了の感謝の辞を述べるとともに、次会開催予定地の鹿児島阿久根市を発表し、同市の西平市長と川原氏にローカルサミットジャンパーを手渡し、前回ローカルサミットin小田原実行委員長の鈴木悌介氏も交えて皆で強く握手し、来年の成功を祈念し、幕を閉じた。(以下、川合実行委員長による、終了の感謝の辞全文)

前略 第四回のローカルサミット開催につきまして皆様に多大なご協力をいただき成功裏のうちに終了しました。本当にありがとうございました。
今回は南砺市内でも特に交通の不便な李賀地域をメインに会場を設けました。交通アクセスについて何分不慣れな点もあり、ご迷惑をおかけしたと思っております。

ただのあの満天の星空の下、200名以上にわたる皆様との交流会は賑やかで大変有意義な時間を過ごすことができたと思います。
瞑想の郷を中心にした分科会は終始白熱した議論が行われ、それを受けた今回のローカルサミット宣言は震災後の日本の進むべき方向、私達がこれから具体的に実現すべき課題、行動方針が浮かび上がってきた内容になっと思います。

次回は、鹿児島県阿久根市で再び皆様と会い、その行動成果を確かめ合うローカルサミットにつながればと思います。

重ねて皆様方のご協力に感謝いたします。

第四回ローカルサミットin南砺 実行委員長 川合 声一 拝